水彩で絵を描くのにもっとも重要な要素のひとつである水彩紙の特性について詳しく紹介をしていきます。
ワトソン紙の概要
水彩紙は輸入ものが多い中、国産の上質なコットン+木材パルプ混合の水彩紙です。どの画材屋さんにも置いてあってお求めやすい価格で、表面もしっかりしていて丈夫でどんな技法でもできますので、とてもポピュラーな紙です。色紙サイズやボードタイプなど種類も豊富です。水彩初期の頃からよくこの紙にお世話になっています。
厚み(g/㎡) | 190g* / 235g** /300g / ボードタイプ(1mm / 3mm) * パッド、カットタイプ、パステル用のスプリングタイプ ** パッド、カットタイプ、スプリングタイプ |
材質 | コットン+木材パルプ (木材パルプ多め?) |
紙肌 | 一般的な中目(cold press)程度 |
色味 | ホワイト / ナチュラル /(グレー:主にパステル用) |
価格目安 (300g厚F4サイズ1枚あたり) | ブロック: 187円 スプリング: 176円 (235g厚でブロックより薄め) |
サイズ展開 | SM判 / F判 / ランドスケープ用G4,G6* / 色紙(大色紙,1/4色紙,豆色紙) / ポストカード / カット4/6判 / 天糊パッド(A4,B5,ポストカード,F4,F6) / ボード(B2,B3,B4,B5,A4) *ホワイトワトソンのみ |
マスキングインク | ◎ |
マスキングテープ | ◎ |
リフトのしやすさ(色の抜けやすさ) | ◎ |
にじみ・ぼかし | 〇(すこし紙の上で滑るような感覚がある) |
備考 |
水彩を始めたころは何も知らずに画用紙で描いていました。初めて水彩用の紙があるらしいと知ってホワイトワトソンに描いて感動したのを覚えています。
それではワトソンのホワイトとナチュラルについて、詳細に紹介していきます。
ホワイトワトソン
白い表紙が目印のホワイトワトソンは、その名の通り真っ白。水彩紙のなかでもトップクラスの白さです。紙が白いので色がすごく鮮やかに見えます。
色が鮮やかです。ウェットインウェットは表面で絵の具が浮いてしまって、流れてしまいました。木材パルプが多い紙では、こういう流れ方をしやすいように思います。
定着はあまり強くないので少し擦るだけで下の色が溶けてしまいます。しかし、リフティングを生かせば少しはみ出したりしても修正が容易です。また、マスキングしなくても後からガッツリ色を抜いて再度色を入れなおすような描き方ができます。
私の使う場面としては、コミックイラストなどハッキリ線画がある絵を描きたいときに使います。白色度が高くて絵の具がハッキリと発色する上に、線から色がはみ出してしまったとき簡単に修正することができます。
また、190g厚だとF4サイズ1枚で117円程度と安いため練習用に気軽に使ったりもします。(薄いと水張り必須で少し手間ですが…)
ワトソン ナチュラル
黒い表紙が目印のワトソンナチュラル。ワトソン紙は、もともとはこの色味しかなかったためただ単にワトソンと言えばこの色味です。ワトソンだけだとホワイトワトソンと混同しやすいので、このブログではワトソンナチュラルと呼んでいます。他の紙のナチュラル色味と比べても黄色味が強いです。
黄色味の主張は強いですが、基本的な滲みの性質はホワイトワトソンと同様です。少し流れてしまいます。
こちらは、ホワイトワトソンとワトソンナチュラルに同じウルトラマリンの絵の具を塗ってグラデーションにしたものです。絵の具が濃い部分は大きな違いはないですが、薄く塗った部分では紙の黄色が透けて色味が黄色に寄っています。彩度も下がってしまっていますね。このように、色によっては絵の具の時と違う色に仕上がってしまうので注意が必要です。
ちなみに私は色が思ったような色味にならないので、ワトソンナチュラルを使いこなせません…。塗った後に、なんか違うな~と思って絵が仕上がらないで終わってしまいます。
ナチュラルな紙の色に塗りたいときは、もう少し白に近い色味のランプライトやウォーターフォードナチュラルを使います。ワトソンナチュラルで穏やかに調和した絵を描く人に憧れます…。
作品での比較
多少混色時のばらつきはありますが、同じ絵の具で同じ手順で2種の紙に塗りました。ホワイトワトソンは絵の具がハッキリと見えてイキイキした絵に見えます。紙が真っ白な分、滲みが広がりすぎているのが気になりますね…。ワトソンナチュラルは穏やかにまとまった印象に見えます。
チーヨチヨ(白文鳥さんを描くなら、ホワイトワトソンだね!)
確かに、白文鳥さんのアイコンの絵はホワイトワトソンです。何も色を乗せないときの白さが際立っていますね。