水彩で絵を描くのにもっとも重要な要素のひとつである水彩紙の特性について詳しく紹介をしていきます。
ウォーターフォード紙の概要
正式名称はサンダース・ウォーターフォードです。イギリスの老舗の製紙工場で作られる上質な水彩紙で販売代理店はホルベインとなっています。やや高価ですが、強い紙肌をもっているため色々な水彩技法が可能です。
また、ほとんどの画材屋さんで見かけることができ入手しやすく、サイズ展開も豊富でとても使いやすい紙です。カットしたものが数枚単位で売られたりもしているので、お試しもしやすいです。
厚み (g/㎡) | 635g* / 425g* / 300g / 190g** * カットのみ ** カット、色紙のみ |
材質 | コットン100% |
紙肌 | 細目 / 中目 / 荒目 |
色味展開 | ホワイト / ナチュラル |
価格目安 (300g厚 F4サイズ1枚あたり) | ブロック: 312円 スプリング: 303円 |
サイズ展開 | SM判 / F判 / 色紙*(大色紙、1/4色紙、豆色紙) / ATC* /ポストカード / ロール / その他カット(1/8、1/4、中判) / A4天糊パッド * ホワイト190g厚 細目のみ |
マスキングインク | ◎ |
マスキングテープ | ◎ |
リフトのしやすさ(色の抜けやすさ) | △(抜けにくい) |
にじみ・ぼかし | ◎ |
備考 | 風邪をひきやすいので保管に注意 |
とても使いやすい紙なので、今後水彩紙を1種類しか使えない呪いをかけられたときには、迷わずウォーターフォード中目ホワイトを選ぶと思います。
それでは私がよく使うウォーターフォード紙3種について、詳細に紹介していきます。
ウォーターフォード ホワイト中目
青色の表紙が目印です。白色度はかなり高いものの、漂白した紙特有の青白さはなく、自然なホワイトです。白さを生かして発色がとても鮮やかに見えます。
ウォーターフォードは水の含みがよく、一度乗せた絵の具が乾くまでの猶予があるのでにじみ、ぼかし、グラデーションがきれいにできます。中目は紙の目がほどよく表れていて、細かい描写にも邪魔にならず、それでいてアナログ絵らしいザラザラ感も適度にあります。
ウォーターフォードは色の定着がいいので、リフティングはあまりできません。
適度な紙目がちょうどよく、アナログ絵らしいマチエールが出せつつも、細かいところも描けるぐらいの目の粗さなので、何を描くにも便利な紙です。
ウォーターフォード ホワイト細目
細目はキメが細かく、とてもなめらかです。鉛筆で軽く書いても引っかかりがなくスムーズに描ける分、絵の具もツルツル滑るような感じがあります。
白紙をスキャンしただけでは目の違いが分かりにくかったので、色鉛筆でふんわり塗ってみました。目の細かさがよくわかります。細目の方が凸凹が少ない分、細部の描写がしやすいです。
細目の方が紙の目の凸凹によるムラがない分、色が均一に見え、濃く、ハッキリした発色に感じる気がします。凸凹がないためひっかかりが少ないのか、紙の上の絵の具が流れやすく、ウェットインウェットの広がりもじゅわっと毛足が長くよく広がったようになっています。
よく定着するのか、中目より色が抜けにくく感じます。
細かい描写がしやすいので、小さい絵や細かい装飾のあるようなキャラクターイラストに適しています。細部まで描きこめて、絵の具の色もパキッとでるので、鮮明な印象を与えてくれます。
ウォーターフォードナチュラル中目
ナチュラルは暖かい黄色味をもった優しい紙です。ナチュラルは中目でのアイテム展開がメインで、細目や荒目のブロックタイプはありません。優しい色合いに、中目の適度な凸凹が優しい印象です。
自然な黄色味がある分、絵の具部分と紙の白い部分の差が少なく見え、絵の具と紙の境目が優しく見えます。ウェットインウェットも優しく溶け込みます。
絵が優しい雰囲気に仕上がるので、あたたかな雰囲気を伝えたい絵にピッタリです。
作品での比較
多少混色時のばらつきはありますが、同じ絵の具で同じ手順で3種の紙に塗りました。同じウォーターフォードの紙に同じように描いても、紙のキメと色味でずいぶん雰囲気が違って見えますね。ホワイト中目を標準とすると、細目はよりパッキリした印象で、ナチュラルは柔らかい印象です。
細部に注目して比べてみました。
ホワイト中目
ホワイト細目
ナチュラル中目
描きたい絵に合わせて紙を選んでいきたいですね