水彩で絵を描くのにもっとも重要な要素のひとつである水彩紙の特性について詳しく紹介をしていきます。
ランプライト紙の概要
国産初のコットン100%としてミューズから2013年に発売された高品質でリーズナブルな水彩紙です。あたたかなオフホワイト色の紙の色と、絵の具の定着が柔らかな特徴が相まってあたたかな絵に仕上がります。リーズナブルさや定着速度の遅さ・リフティングのしやすさなど試行錯誤する練習用の紙としても、あたたかい絵を描きたい本番用の紙としてもお気に入りです。
厚み(g/㎡) | 300g |
材質 | コットン100% |
紙肌 | 一般的な中目(cold press)程度 |
色味 | ナチュラルなオフホワイト |
価格目安 (300g厚F4サイズ1枚あたり) | ブロック: 219円 スプリング: 219円 |
サイズ展開 | SM判 / F判 / ポストカード / カット4/6判 |
マスキングインク | △(毛羽立ちやすいので剥がすときにゴムで擦りすぎないよう注意。剥がした後に色を塗るのは避けた方がベター) |
マスキングテープ | 〇 |
リフトのしやすさ(色の抜けやすさ) | ◎ |
にじみ・ぼかし | ◎ |
備考 | 両面彩色可能なので、スプリングタイプだと倍お得かも! |
高品質なのに、輸入物のコットン100%紙に比べると値段がお得です。私は水張りするので両面描くことはないですが、スプリングタイプだと両面描けて更にお得ですね。
にじみ、グラデーション、リフティングは◎
絵の具の定着が比較的ゆっくりなので、にじみも優しく広がります。定着がゆっくりなのも相まって、少し色が流れてしまっています。水をたっぷり使ったときは描くときの角度に気を付けたいですね。
乾きかけなら完全に色が取り去れるくらい定着がゆっくりですし、乾いてしまってからもリフティングが容易です。後から紙の白が出せるのはとても便利です。
紙表面は少しデリケート
紙質は少し柔らかめのため、紙を痛める技法は少し不安が残ります。基本的には消しゴムを少しかけるくらいなら平気ですが、何度も描いて消して…だと紙が毛羽立つのが分かります。
マスキングインクも全く無理というほどではないのですが、たまに剥がすときに毛羽立つことがあるので最小限にしたほうがよいです。特に剥がしたあとに色を乗せるのは避けた方がいいです。
他の紙(ウォーターフォード)との比較
色味やキメの程度が似ているコットン100%のウォーターフォード(WF)ナチュラル中目と比べてみました。WFよりは色味が白に近く、ナチュラル過ぎない絵に仕上がっています。この塗り方ではあまり差は感じられませんね…。
別の絵ですが、同じ猫を紙の性質を生かして違った描き方で描いた絵もあるので見てみましょう。
(左:ランプライト、右:ウォーターフォードホワイト中目)
1枚ずつ細かく見てみましょう。まずはランプライトから。
にじみや重ね塗りの優しさから、ふんわり感を重視した描き方の絵です。色を塗りすぎてしまった部分もリフティングで白くできるので、安心しながら絵を描くことができました。浮かび上がるような優しい絵にしあがりました。
次はウォーターフォードホワイト中目です。
毛量の多い猫の毛の一本一本まで描きたいと思い、白い部分はマスキングインクであらかじめ準備しておくため少し大変な作業でした。ハッキリした白と、茶色い部分のコントラストが存在感あります。画面では伝わりにくいですが、密度高く描きこみしているので迫力がある絵に仕上がります。
紙の性質は優劣ではないので、紙の性質をよく理解して描きたい絵に合わせて紙を選んでいきたいです。ランプライトは本当に暖かい絵に仕上がります。