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鮮やか! まっちベィシックカラーレビュー

画材

先日、ずっと気になっていた「まっち」の透明水彩の絵の具セットを購入しましたので、ベイシックカラー全13色をレビューします。

ベィシックカラーについて

ベイシックカラーとは

まっち絵の具のラインナップの中で、色の元である顔料の含有率が最も高く、一般の絵の具に比べて約3倍も含まれています。

まっちベイシックカラー商品ページより

まっちの透明水彩にはいくつかシリーズがあり、「ベィシック」はその中でも最も顔料密度が高く彩度が高いシリーズです。

10ml で325円とホルベイン並みの驚きの安さです。全13色セットでも4070円でした。

私がまっちの絵の具を知ったのはもう何年も前ですが、春﨑陽子さんが画集にて「彩度が高く濁りにくい」と紹介されたのがきっかけでした。

気にはなっていたのですが、田舎の画材屋さんでは店頭で見かけることもなく…。今回は、旅行先のtools御茶ノ水店でやっと出会うことができました。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

ポポ…?(オンラインショップもあるのに…?)

一番最初は実物を見てときめきながら買いたい派なの!笑

13色の内容

ベィシックカラーには13色あります。各絵の具の顔料については、絵の具の説明書やHPには記載はありませんでした。問い合わせたところ教えてくださいましたが、転用NGとのことだったのでここには記載しませんが、気になる人はご自分で問い合わせてみて下さい。

では、一色ずつレビューします。特に気に入った色には「❤」をつけています。それぞれの色、2色の混色見本も後ろの方に載せています。

レモンイエロー 青みのある黄色。鮮やかで伸びがいい。

レモンイエロー まっちの三原色セットのうちひとつ。鮮やかで伸びがいい赤味のある黄色。…赤味といってもレモンイエローとほぼ見分けが付かない。混色の場合でも、どちらの色を使っても出来上がる色はほぼ同じような…?

イエローオーカー 使いやすい中間色の黄土色。他の色との混色で、鮮やかなまっちの絵の具を少し落ち着いたトーンにしてくれます。チューブによるかもしれませんが、私の買ったチューブは微妙に分離していて、他の色に比べて滑らかではありませんでした。粒子も荒く見えます。

❤ブラウン 赤味のつよい茶色。すっと溶けて使いやすく鮮やか。単色で使うより、混色向き。混色したとき、暖色系の色なら少しトーンを下げて赤味を足してくれて可愛らしい。寒色系の色もトーンが落ちて落ち着く感じになります。

バーミリオン オレンジよりの赤色。実際はもっと鮮やかで可愛らしい色です。薄めたときのピンクも素敵。この鮮やかさそのままに花を描いたら素敵だと思います。ホルベインのピロールレッドみたいな色味の感じですが、混色しても彩度が下がりにくくて最高です。

カーマインレッド 多少青みのある赤色。単色の色味はバーミリオンと違うけれど、混色した時の印象はバーミリオンとほぼ同じ。バーミリオンとマゼンダを混ぜたらカーマインレッドが作れました。

❤マゼンダ まっち三原色のひとつ。青みのある赤というかいわゆるマゼンダ。少し青みが強く感じる気がします。固有色としては馴染みのない色味なので単色で使う機会は少なそうで鮮やかさを生かす機会は少なそうですが、混色してもトーンが落ちるのに発色がいいのでとてもきれいです。

ウルトラマリン すっごくなめらかで溶けやすいウルトラマリン。赤味のある青。この顔料は固形化すると溶かしにくく薄くなりがちなのですが、まっちは溶けやすく濃く濡れました。また、粒状化も多少しますが、ホルベインのウルトラマリンライトより滑らかに感じます。

ブルー(シアン) まっち三原色の一つ。いわゆるフタロブルーレッドシェードの色味。とても濃くて滑らかで鮮やかです。

グリーン 色味がうまくでていません。実際はもっと彩度が高いです。人工的な青みのある緑。自然のものを描くとするなら、混色前提の色ですね。

イエローグリーン 鮮やかな黄緑色。自然の色としては鮮やかすぎてこのままだと使いにくいので混色向きですが、イエローとグリーンを混ぜても作れるので個人的に使用頻度が低そうな色。

❤ブラック 色味のない黒。とっても濃い。黒を使わない方もいるとは思いますが、イラストの背景など、真っ黒にしたいときに使いやすい。濃いのでとても良いです。

ホワイト(画像なし) いわゆる白い透明水彩の絵の具。個人的には使わない色です。

魅力①鮮やか

絵の具の彩度が高いとは聞いていたのですが、自分でも塗ってみて驚きました。(スキャンでは伝わり切らないので、ぜひご自分の目で見てください…!)

混色しても、彩度がさがらないで色味をしっかり感じます。

不思議なのは、同じような顔料を使っていてなぜ鮮やかなのか…、HPに理由が書いてありました。

独自の技術によって、色の元である顔料を粒子の大きさと形状の揃った超微粒子にしました。 絵の具に当たる光が乱反射しにくいため、発色がきわめて鮮やかです。

まっちHPより

確かに光が乱反射すると白っぽくなって鮮やかさは下がりそうですね。

つまり、白文鳥さんとは反対ということだね。

(白文鳥の羽は乱反射で白く見えます)

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

?(何もわかっていない)

魅力②使いやすい

チューブがやわらかいビニル素材でできています。アルミのチューブより柔らかくて個人的には好みでした。

柔らかいチューブなので絵の具を出すときに力がいらずスッと絞り出せます。また、出し口のあたりも絵の具のキレがよくて必要な分だけ出しやすいです。フタも力がいらず開けやすいです。使う分だけ出して使いたい派なので、小さなことですが毎回ストレスフリーなのは嬉しいです。

あと、安価(345円/10ml)なので、値段を気にせず気軽にたくさん使うことができます。

透明度

絵の具の説明書やHPには記載がありませんでしたので、自分で塗って試してみました。

実験 ステイン性の高い黄色、赤、青色を塗る(①)。その後、完全に乾いてから上にまっちの絵の具を重ねる(②)。

濃度のばらつきがあるため濃度による影響を受けている気がしますが…、

下の色が勝って見える
(透明度が高い)
上の色が勝って見える
(不透明度が高い)
レモンイエロー
イエロー
カーマインレッド
イエローオーカー
ブラウン
バーミリオン
マゼンダ
ウルトラマリン
ブルー
グリーン
イエローグリーン
ホワイト
ブラック

顔料の濃度が高いということもあり、ほとんどの色で隠ぺい力がそこそこあり、後から塗った色の主張を強く感じました。

ステイン性

まっちの説明書やHPには記載がありませんでしたので、自分で塗って試してみました。

実験① ウォーターフォード中目に各絵の具を塗る。半日完全に乾かしてから、水を付けた筆で一往復擦る。

想定としては「乾いた後に色を重ねるときに水分のついた筆で軽く触ってしまうとき」というイメージです。

実験② ウォーターフォード中目に各絵の具を塗る。半日完全に乾かしてから、水を付けた筆で10往復擦る。

想定としては、「間違えたときの後からの修正や、後からハイライトを抜きたい」という感じです。

実験①の結果

水筆一往復で色が少し抜ける
(ステイン性弱い)
水筆一往復で抜けない
(ステイン性強い)
イエローオーカー
ブラウン
マゼンダ
ブルー
イエローグリーン
レモンイエロー
イエロー
バーミリオン
カーマインレッド
ウルトラマリン
グリーン
ブラック
ホワイト

実験②の結果

水筆10往復で色がほぼ完全に抜ける
(ステイン性弱い)
水筆10往復であまり抜けない
(ステイン性強い)
イエローオーカー
ブラウン
マゼンダ
ウルトラマリン
ブルー
グリーン
レモンイエロー
イエロー
バーミリオン
カーマインレッド
イエローグリーン
ブラック
ホワイト

全体的にちょっと触るだけで溶けてくるような感じではなかったので、重ね塗りする分には気にしなくていいと思います。激しいリフティングについては、黄色、赤、黒以外は効きそうですね。

堅牢性

まっちの説明書やHPには記載がありませんでしたので、問い合わせたところ「室内の蛍光灯で約8年間照射してやや変色する色もある(夏の直射日光40日間相当の試験機による試験をもとに算出)」との回答を頂きました。

安全性と安価な顔料を求めているため、安定性の高い重金属顔料などを使用していないとのことでした。

個人的には、室内の蛍光灯で数年持つなら十分だと思っています。気になる場合はUVカットの額に入れてあげたいですね。

まっちってどんな会社?

日本の絵の具や画材メーカーで、絵の具の材料はもちろん容器にいたるまで身体と環境に配慮して丁寧に絵の具づくりをされているそうです。

製品の品質も良く、環境への配慮もあり、そしてお手頃価格…。まっちのファンになってしまいました。

ちなみに絵の具を買ってから気づいたのですが、会社所在地が長野県でした!

私も長野県住みなので親近感が湧きました。いままでずっと憧れていたのに実は近くにいたなんて…笑

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