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ホルベイン分離色「グラニュレーティングカラーズ」全24色レビュー

画材

大望の! ホルベインの分離色!

ホルベイン分離色を開発中と聞いていましたが、ついに2024年5月に「グラニュレーティングカラーズ」として全24色が販売されました‼

私は分離色を使いこなすのが苦手なので分離色はほとんど買わないのですが…、なんと今回は思い切って全色セット買ってしまいました。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

チチチ!(わ、すごい! これだけ揃うとテンションあがるね! )

思い切った理由(というか言い訳)は、

  • 花鳥風月をテーマにした絵の具の名前が素敵!
  • 明るい色~黒い色まで色味が豊富
  • 一本(5ml)で400円程度と、たくさん買いやすい価格
  • 期間限定ではなく定番色のため、安心していっぱい使ってなくなればいつでも買い足せそう

という点が魅力的だったからです。

こちらの絵の具について、試し塗りと絵の具の分離実験をしましたので、レビューをしていきます。

分離色とは?

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

???(あれ? そもそも、グラニュレーティングカラー、分離色ってなに?)

紙のキメに絵の具が溜まって粒状に見える現象(=グラニューレーション、粒状化)が起こる絵の具のことだよ。

次の混色の例を見てみよう。

粒状化しにくい絵の具の赤と青を混ぜると均一に紫色が塗れました。ところが、粒状化しやすい絵の具(コバルトターコイズライト)で紫色を作ると、紫色の中に水色が粒状に分離して、ザラザラした質感の面白い効果が生まれました。

粒子が大きい顔料の絵の具は粒状化しやすく、画面に面白い効果が生まれます。粒状化しやすい絵の具はカラーチャートや絵の具のチューブにグラニュレーションの「G」と記載されています。

分離色は上の混色例のように自分で絵の具を混ぜても作れますが、絵の具メーカー各社から「分離色」として、面白い色の組み合わせ・分離しやすい調合で作られた絵の具が販売されています。

紙の上ではあまり分離しないこともあります。

今回は絵の具の分離が分かりやすいように、分離実験を行いました。

水で薄めた絵の具をしばらく置いておくと粒状化しやすい顔料が分離して沈殿します。紙に塗るときはここまでハッキリ分離するわけではありませんが、色の違いがより鮮明になるので絵の具の特徴をつかむのにオススメの方法です。

色一覧

(粒状化の特徴が見やすいようやや薄目に塗っています。また、分離色は条件により色味が大きく違って見えますので、色はあくまで参考程度です)

色見本絵の具名顔料色見本絵の具名顔料
アキクサインコPY159, BV10, PR122
(蛍光色使用)
ノウゼンカズラPY159, PR177
サクラPR233,PO73,PW6フラミンゴPR233,PO73
月食BV7, BV15, PY110,PR122
(蛍光色使用)
ススキPR233, PY43,PY83
満月PY159,PY42,PBk6ウグイスPG17, PY42, PY43
ミモザPY159, PB29, PG17深い森PY43, PG50
クジャクPY159, PR232, PG7,PB15大海PY159, PB15
ヒスイカズラPV47, PG7, PB15, PW6PG50, BV7,BV15, PB60
(蛍光色使用)
クレマチスPY159, PB29, PV23地球照PB29, PR177, PR122
薄明PV47, PR233, PO13PG50, PO73, PR254
カケスPB29, PG18, PO73朧月PY159, PBk6, PB15
ルリタマアザミPB29, PG17ハシビロコウPB71, PB29, PBk11
月夜PB29, PBk6雨夜の月PB29, PR101
実際の色味と違って見える場合があります

では、1色ずつ詳細を見ていきましょう! 個人的にオススメの色には◎をつけています。

アキクサインコ( PY159, BV10, PR122 )

蛍光色ピンクが入っていて、とても鮮やかで可愛らしい色です。紙に濃く塗ると赤よりのオレンジ色に見え、薄く塗ると薄桃色で、花や果物の色として自然な感じですね。分離実験をしたところ、ピンク色のベースに粒状化する黄色が入っていることが分かります。

蛍光色のため退色の心配があります。(この記事の最後の方に退色実験結果がありますのでご参照ください)

ノウゼンカズラ( PY159, PR177 )

赤と黄に分離する明るい茶色です。アキクサインコより落ち着いたレトロなレンガ色です。薄く塗ると、桃のような赤色と黄色になっておいしそうです。

サクラ (PR233, PO73, PW6 )

なんとなくイチゴミルクを連想する色です。PW6(白)と、くすんだピンク(PR233)が入ったくすみパステルカラーのピンク色です。粒状化のザラザラした効果が入ると、可愛いだけでなく存在感があります。お花に使いたい色ですね。

フラミンゴ ( PR233, PO73 )

先ほどのサクラとPW6以外は同じ顔料が使われていますが、雰囲気はかなり違います。オレンジ色から粒状化するくすんだピンク色が分離します。濃く塗ると、赤レンガのような茶色の雰囲気が強いですが、薄く塗った時にフラミンゴ感がありますね。

月食 ( BV7, BV15, PY110, PR122 )

スキャンできれいに色が出ていませんが、実際はもう少し茶色がかった色合いをしています。紙の上で分離するのは赤茶色のように見えるのですが、分離実験をして沈むのは黄色のように見えました。よく分からない不思議な色です。

蛍光色が入っているので退色が懸念されますが、粒状化の雰囲気が重厚で雰囲気があり、建物や樹木に使うと面白そうです。(この記事の最後で退色実験をしています)

◎ススキ ( PR233, PY43, PY83 )

黄色からくすんだピンクが分離する秋らしい色です。黄色は人の目を引きすぎる傾向がありますが、彩度を少し落として、粒状化でニュアンスが加わったレトロな黄色は穏やかで使いやすそうですね。ヒマワリ、梨、キツネ、麦わら帽子…黄色が固有色のものならなんでも自然に仕上がりそうです。

落ち着いた、雰囲気のある黄色を使いたいときにオススメの色です!

満月 ( PY159, PY42, PBk6 )

青みがかかった黄色で、落ち着きのある和風な色合いです。ベースと分離する色も同系色でブツブツが悪目立ちしませんね。分離した色の揺らぎもあいまって、青みがかった金色のようにも見えます。

濃く塗ると緑とも茶色ともつかない色で、植物や樹木に使ってもよさそうです。金色の瞳を持つような人物や動物に使っても神秘的です。

◎ウグイス ( PG17, PY42, PY43 )

抹茶ドリンクを連想する色合いで和を感じますね。黄色がかった緑色であるウグイス色に、抹茶のような青緑が分離します。分離する色も同系色の為、ブツブツ感は少なく自然な分離です。風景や植物に使うと、和風でレトロな仕上がりになりそうです。

植物の緑色としても自然で、使い勝手がよさそうでオススメです!

ミモザ ( PY159, PB29, PG17 )

灰色がかったような青みのある緑色に青色と黄色が分離します。濃く塗った時は、これ一色で草原のような、草花が入り混じったような複雑な黄緑色になります。薄く塗ったときは、印象派の絵画のなかに描かれたミモザという感じの雰囲気です。草むらの表現によさそうです。

深い森 ( PY43, PG50 )

深い森というイメージが私にはピンときませんが、東山魁夷の世界観の森の色合いですね。幻想的な緑色で、この固有色のものはあまりないため、これで何を塗ろうか迷いますね…、宝石や海でしょうか。

固有色としては何に使えば分からないのですが、個人的にとっても大好きな色です。分離する水色(PG50)の顔料がすごく好きなのです。PG50は、下塗りや影の色として大抵の絵に使っています。涼し気で透明感のある仕上がりになるので、この色も同じように使ってみようかなと思います。

オススメというより、個人的に一番好きな色です!

クジャク ( PY159, PR232, PG7, PB15 )

完全にクジャクの色合いになって驚きます。 クジャク過ぎて、それ以外は何に使えばいいか悩みますね。青みがかった緑色に灰色がかった黄色が分離して、紙のザラザラ感が強調されて大人な雰囲気があります。

大海 ( PY159, PB15 )

こちらもクジャクに似ていますが、クジャクよりも鮮やかでイキイキした色合いの青色に黄色が分離しています。濃く塗ったときの青緑色が深海のような雰囲気がありますね。薄く塗ると浅瀬の海のような色です。分離する黄色を光の粒子だと考えれば、光差す水の表現によさそうですね。

ヒスイカズラ ( PV47, PG7, PB15, PW6 )

ネオンサインのような水色とピンク色がエモい色です! 水色に浮かび上がるピンク色がロマンティックで、服などの人工的なものや熱帯魚のような塗るな派手派手なものによさそうです。なんとなく人魚も連想しますね。

宵 ( PG50, BV7, BV15, PB60 )

普通に青…? と思いきや、水色と赤紫のような色が分離しているように見えます(あんまり自信がないです)。一見分離しているかどうか分からなかった色です。

すがすがしい鮮やかな青色でとても綺麗です。蛍光色が使われているため、退色が気になりますが、ベースの顔料が鮮やかで堅牢性があるせいか、色の変化は分かりにくかったです。(記事の最後に退色実験をしています)

クレマチス ( PY159, PB29, PV23 )

クレマチスの花弁色の紫色に、しべ色の黄色が分離します。紫と黄色は反対色のため濁ってしまうかと思いきや、意外と紫と黄色のそれぞれ色味が出ていて自然な仕上がりです。紫色は暗い色のイメージがありますが、ほんのり粒状化する黄色が温かみを添えています。花の紫によさそうです。

地球照 ( PB29, PR177, PR122 )

地球照とは、月のかけている部分がうっすら光って見える現象のことで、地球に反射した光に月が照らされているそうです。(絵の具の名前で初めて知りました)

赤紫色に青色の粒子が分離して、幻想的な色合いです。マゼンダから分離した青色からずみずしさを感じられます。ブドウやショウブなど、固有色が紫のものならなんでもあいそうです。

◎薄明 ( PV47, PR233, PO13 )

くすんだ赤紫~ピンクの色です。分離した状態だとかなり毒々しい色に見えますが、紙の上でみると落ち着いた色合いで癒されます。肌に温かみのある影色として使いたい色です。くすんだ色合いとザラザラした感じがどこか懐かしさを感じます。

退色実験をすると、このシリーズのなかで一番変色が顕著でした…悲しい…。(記事の最後の方に退色実験の結果があります)

赤色の代わりに使うとどこか懐かしい落ち着いた雰囲気に仕上がりそうですね。ザラザラした質感もおすすめです。

暁 ( PG50, PO73, PR254 )

分離しないと茶色、分離するとハッキリオレンジと水色に分かれます。反対色が分離するとかなり派手です。何に使えばいいんでしょう…、固有色というより、雰囲気をプラスするための下塗りや背景色に使うとよさそうでしょうか。

◎カケス ( PB29, PG18, PO73 )

この色が発表されたときに分離色セット買うのを決めました。私にとってのキラーカラーです。まずカケスという鳥が大好きで、さらに、絵の具の色も好みドンピシャでした。濃く塗ると温かみのある黒に近い紫なのに、薄く塗った時の、何とも言えないグレーのような色あいがたまらないですよね。

黒の固有色の代わりとして黒髪や、カラスや黒猫など黒い生き物に使ったり、温かみのある夜空として塗ると素敵だと思います。

黒色だけど温かみを出したいとき、真っ黒の代わりに使うのにオススメです。

朧月 ( PY159, PBk6, PB15 )

黒から黄色が分離する不思議な色です。黒いけど、黄色いという不思議な感覚です。闇夜におぼろに浮かぶ月の光を表しているようで面白いです。

かなり薄めに塗った時の、灰色と黄色が分離するのが、和を感じられて上品できれいですね。

ルリタマアザミ (PB29, PG17 )

お花のイメージで紫色系かとおもいきや、緑がかった黒色でした。黒髪や黒猫のような黒いモチーフに使うと、涼し気でみずみずしい印象になりそうです。

ハシビロコウ ( PB71, PB29, PBk11)

色味は確かにハシビロコウっぽ青っぽい灰色で、鳥さんのもつ落ち着いた感じも表現されています。クールな色合いで、分離した色も同系色で自然な感じです。青色として使うと、上品で知的な感じで仕上がりそうです。

月夜 ( PB29, PBk6 )

シンプルな名前に見合う、シンプルな紺色~黒色です。中間ぐらいの濃さのときに、黒色の中に青い粒子が浮かび上がるのがきれいです。夜空にピッタリのイメージですね。

◎雨夜の月 ( PB29, PR101 )

カケスと似たような黒に近い紫ですが、こちらの方が色味が落ち着いていて、これも好きです。暖色系の黒として使い勝手がよさそうですね。分離する色も奇をてらっていなくて、落ち着いています。

黒として使うと温かみのある絵に仕上がりそうですね。オススメです!

追記・退色テスト

蛍光色が使われている絵の具もあり、耐光性が気になるところだったのでテストしてみました。

テスト条件:5~8月の3か月間、窓ガラス越しの日光が日中数時間程度当たる室内に掲示した。絵の具を塗った部分の半分をアルミホイルで覆い遮光したものと比較。

3か月、ガラス窓越しに日光の当たる室内に掲示

3か月でアキクサインコ・月食・薄明に変化が見られました。蛍光色が使われていても、宵の色の変化は分かるほどではありませんでした。それでは変色したものを1色ずつ詳しく見ていきましょう。

アキクサインコ ( PY159, BV10, PR122 )

蛍光色が使われているアキクサインコは、青みのある蛍光ピンク感がへりました。スキャンはピンクがハレーションしている感じなので分かりにくいですが、肉眼や写真では分かります。ただ、そこまで変色という印象ではないので、絵の一部なら気づきにくい程度だと思います。

月食 ( BV7, BV15, PY110, PR122 )

月食も蛍光色が使われいて、退色が見られました。月食特有のすごみのある青色が消えて、フツーの明るい茶色になりました。ただ、そこまで変色という印象ではないので、絵の一部なら気づきにくい程度だと思います。

薄明 ( PV47, PR233, PO13 )

ホルベインの分離色シリーズの中で一番変色が激しかったです。明らかに色味が変わるので注意が必要ですね。独特の温かみのあるオレンジピンクが、冷たいマゼンダっぽい感じになりました。絵を飾る場所やUVカットなどの工夫が必要そうですね。

まとめ

私のオススメ色は、

  • ススキ ( PR233, PY43, PY83 )
  • ウグイス ( PG17, PY42, PY43 )
  • 薄明 ( PV47, PR233, PO13 ) *退色に注意
  • カケス ( PB29, PG18, PO73 )
  • 雨夜の月 ( PB29, PR101 )

でした。皆さんの好みはどの絵の具でしたか?

名前もロマンチックで、惹かれるものがありますよね!

花鳥風月がテーマらしく、鳥好きにはたまらない絵の具もありました

キャルル!(文鳥さんはなかったけどね!)

次は文鳥さんシリーズで絵の具を作ってほしいですね!笑

桜文鳥さんの胸の色、桜文鳥さんの背中色、シナモン文鳥さんのお腹色、文鳥さんのくちばし色、文鳥さんのアイリング色、文鳥さんが好きな粟玉色…

最後まで読んでいただきありがとうございました。退色実験も実施中ですので、結果がでたら追加します。(南向きの窓ガラス越しの自然光で現在1か月、いまのところ退色は見られていません)

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