鉛筆型で色鉛筆のように線が描けて、水でぼかせる水彩色鉛筆。透明水彩で絵を描く際に便利な使い方をいくつかご紹介します。今回は純粋に水彩色鉛筆のレビューというよりは、水で消える性質を生かして透明水彩と組み合わせる活用法の紹介です。
水彩色鉛筆って?
見た目は完璧に色鉛筆ですが、その名の通り、水彩みたいに水で溶いて描くこともできる色鉛筆です。色んなメーカーから出ていて、水への溶けやすさや色味発色は少しずつ違います。オススメのものについては最後に紹介します。
キャルル!(むむ!?とがっている…もしやクチバシか!? ケンカ売っているのか!?)
あ、突然怒り狂った文鳥さんが! 尖った画材は文鳥さんとは相性悪く、手に取ると大体怒られます。しかし、透明水彩との相性はバッチリなのでいくつか便利な使い方を紹介します。
消しゴム不要の下書きに!
皆さん、水彩紙に線画を描く際はどうしていますか? トレースした方が紙も痛めないのはわかっていますが、一度別に線画を用意して再度なぞるのは手間が多く、気軽に描くのには向いていませんよね。といって、水彩紙の上で鉛筆消しゴムで直接描いたり消したりは紙の表面を傷めるので嬉しくないですよね。
そんなときにオススメしたいのが水彩色鉛筆での下書きです!
水彩色鉛筆は商品や色によっては水で溶かすとほとんど分からなくなるものもあります。
色が残りにくい水彩色鉛筆でアタリ線を描くなど下書きをしておいて、線画をペンや鉛筆など水で消えない画材で描き入れます。最後に消しゴムをかけなくても、最初に水で流すだけで下書きの線が消えて、本書きの線画だけが残ります。
消しゴムがかけられない繊細な水彩紙や、全面に消しゴムを描けるのにも時間がかかる大きい絵にオススメです。
チャコペン(裁縫の際に布に線を書き入れる水性鉛筆)でも同じことができますが、水彩色鉛筆の方が色数が多くて、遠景と近景や人物と背景など色で分けするのに便利ですし、後述するように使い方の幅も広いです。
繊細に仕上げたい絵の、消える線画として!
絵によっては、線画をあまり目立たせたくない場合もありますよね。そんな時にオススメなのが、水彩色鉛筆で色を合わせながら線画を描いて塗ることです。
塗ってみると、水彩色鉛筆だけは線画が一部溶けて絵になじみ一番繊細な仕上がりとなりました。
分かりにくいので、一番薄いところだけを拡大して比較してみましょう。鉛筆、色鉛筆は線がはっきり残って形を分かりやすく見せていますが、水彩色鉛筆は塗った色となじんで境界が曖昧になっています。線画の印象が柔らかくなり、繊細な絵に見せることができます。
水彩色鉛筆の線画は大量の水を全体に広げるような塗り方をすると線画が全部溶けて見えなくなってとっても塗りづらいので、一部分ずつ塗るような方法に向いています。
仕上げの線画に! 少しくらいなら修正可能
線画は最後に描き足して仕上げるという方もいますよね。最後の仕上げとしても水彩色鉛筆が便利です。
最後の最後で線画をミスして泣いてしまうことないでしょうか。(私は何度もあります泣)色鉛筆やミリペンだと修正が効かなくて困りますよね。
水彩色鉛筆なら、多少は消すことができるので少し間違えても修正できることもあります。(水彩色鉛筆の間違えた線を水でこすって溶かすので、下に塗った透明水彩絵の具も取れてしまうことがありますので注意してください。)
また、動物の毛並みなどの繊細な線描を後から描き入れることもできます。線を入れた後、部分部分を水でなじませたりできるので、全体のバランスを見ながら後から線を弱めていくことができます。後から消せない色鉛筆で描くより自然な毛並みになることもあります。
水彩色鉛筆の性質は商品によって違う→オススメ紹介
一口に水彩色鉛筆と言ってもメーカーや商品、色によって水への溶けやすさが違います。今回は「水で消す」という点に着目した際のオススメを紹介します。
水で消したいときにオススメ! ファーバーカステルゴールドファーバーアクア
水で消しやすいのはファーバーカステルの水彩色鉛筆のミドルクラス「ゴールドファーバーアクア」です。同社水彩色鉛筆最上位クラスの「アルブレヒト・デューラー」に比べると廉価版となり、発色とノリがイマイチなのですが、私的には水で消しやすくて下書き用として愛用しています。
手持ちの色をいくつか試しましたが、パステルカラーっぽい薄目の色ならが消えやすく、濃色はやはり消えにくいです。薄めの色でも全体的にうっすら色味が残ることがあるので最後の仕上がりの色に合わせて下書きの色を変えたり、透明水彩を濃いめに塗り重ねるとよいです。
私が昔買った時から12色セットの内容が変わったようで現行12色セットと手持ちの色が一致せず現行12色セット全部試したたわけではないですが、消しやすい色は、147(ライトブルー)、166(グラスグリーン)、176(バーントオーカー)です。12色セットの中には線画に使いやすい176(ヴァンダイクブラウン)も入っています。
画材屋さんや世界堂さんなどの通販でも単色購入が可能です。単品で買うとしたら、上記に加え消しやすい色は、109(ダーククロームイエロー)、 119(ライトマゼンダ) 、162 (ライトフタログリーン)です。
まとめ
今回は透明水彩で絵を描くときの便利な補助画材として水彩色鉛筆を紹介しました。水彩色鉛筆自体も色鉛筆と水彩の両方の魅力を持つ素敵な画材です。水彩色鉛筆で絵を描いてみるのも楽しいですよ!