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柔らかい水含みと繊細な穂先が魅力的<ルナール2種レビュー>

画材

ギンギツネの天然毛を用いたRenard(ルナール)ファイン、スケッチ。価格と性能のバランスが取れてとても良い筆だったのでレビューします。

Renard(ルナール)ってどんな筆?

ルナールとはフランス語で「キツネ」を意味し、その言葉の通りシルバーフォックスの天然毛を使った水彩筆です。服飾用途で過剰在庫となってしまったシルバーフォックスの毛を筆として開発された商品だそうです。

シルバーフォックスの毛が珍しいのと、天然毛素材なのにそんなに高価ではないところに惹かれて買ってしばらく使ってみたところ、とてもお気に入りの筆となりましたのご紹介します。

ルナールには形状の違いにより2種類の展開があります。

  • Sketch(スケッチ) シルバーフォックス100%の一般的な丸筆タイプ
  • Fine(ファイン)ナイロンと混毛で面相筆のような細書きが向く

スケッチは4号と8号の2つのサイズ展開、ファインは0号、2号、4号、6号の4つのサイズ展開があります。スケッチは広い面用に一番大きい8号、ファインは細部の書き込み用に中間サイズの4号を購入しました。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

ポチ!(筆には珍しい、モノクロの毛がかっこいいね! 桜文鳥さんみたい!)

両方とも穂先までの長さ自体は約2cmでほぼ一緒ですが、ファインの方が毛量が少なくすっきりしていますね。

簡単に良いところと使いこなすのにコツがいる点をまとめてみました。詳細は後述します。

8号で4000円以下とお手頃価格で高品質な筆

水含みの良さを生かしてのびのび描けるスケッチ

細部の描きこみと、ある程度広い面積も一度に描けるファイン

コシが柔らかめのため、いちいち筆の毛先を丁寧にまとめる必要がある(後述)

ファインは細い線が引けるが、均一な線を描くのは力加減が難しい(後述)

スケッチの特徴

スケッチはオーソドックスな丸筆タイプです。穂先は自然に細くなっているので、先だけ使えば細目の線も描けますし、水含みがよいので広い範囲をべた塗りするのにも向いています。

筆のコシが柔らかめなので紙面にフィットして広い面も塗りやすいです。しかし、コシが柔らかい分、パレットで絵の具を取った後に筆の形がもとに戻りにくいです。絵の具を取った後、丁寧に毛先をまとめてあげる必要があります。

例えばPCセーブルは筆に強い弾力があるのでピンっともとに戻ってすぐに描けますが、ルナールは変形したままです。(画像はあえてかなり強調して押し付けています)しかし、この特徴を生かしてあえて毛先を割ることで(割筆)、細かい毛や草むらの表現ができるようになります。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

チチチ!(ボサボサで水浴びしたあとの文鳥さんみたいだね! それだからこそできることもあるんだね~)

また、ルナールスケッチの一番の特徴といえば、水含みの良さに驚きました!

ナイロン筆に慣れていると、思ったより広い範囲を塗れてびっくりしました。水彩は乾く前に一度で塗った方が、変なムラやシミがなくきれいに塗れる場面もあります。そういったスピード勝負の場面では、水含みのいいスケッチだと頻繁に絵の具を付けなおさなくていいのでストレスフリーな塗り心地です。

水含みがよいので絵の具切れを感じず気持ちよく塗れるのが良いですね。幅広い場面で使えて頼りがいのある筆です。

ファインの特徴

ファインはシルバーフォックスとナイロンの混毛で、細長い穂先はスケッチよりも繊細な線描に向いています。

驚いたのはその穂先の鋭さ、線の極細さ! 小さい絵を描くとき、線画やまつ毛など細い線を引くときに良いですね。

名村大成堂さんの筆で手持ちの筆と比べてみましたが、その極細さは一目瞭然です。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

キャルル!(鋭さなら文鳥さんのくちばしも負けないよ!)

う、うん…。文鳥さんのくちばしは鋭くて硬いけど、ファインの穂先は鋭くても柔らかいので、太さの調節ができるね。

一方、極細の穂先からやや太めの中心部が続くので、本当に先っちょだけ紙に当てるようにしないと、すぐ太くなってしまい非常に不安定な線となりました。長く均一な線を引くのは力加減が難しいため、他の筆の方が均一な線で安定して見えます。それぞれの得意な場面で使い分けたいですね。

中心部が太いのは悪いことではなく、そのおかげで水含みがよくそこそこ広い面も塗ることができます。極細筆は毛の量が少ないのですぐ絵の具が切れて線が引けなくなりますが、ファインは絵の具を付けなおさなくても結構な長さの線をひくことができます。

ファインはその極細さを生かして、細部の描写の際に活躍できます。

そこそこ広い面も塗れるので、ATCサイズの小さめの絵ならこれ一本で面から線まで大活躍で塗ることができました。

作例・幾何学模様

細かい絵がどこまで描けるか幾何学模様を7cm幅~1.5cm幅の小さいものまでサイズを変えて描いてみました。(サイズ比較に筆をおいてみましたが、まるで筆が巨大になっているような不思議な感覚になりますね…笑)

スケッチは絵の具をよく含むので、7cm幅の大きな模様でも絵の具切れが少なくとても塗りやすかったです。穂先は鈍いので細かい模様は精密には描写できませんでした。(私の実力不足もありますが…)

ファインは穂先が鋭いので、大きいサイズから小さいサイズまで、角やカーブなんでも精密に描写できました。精密に筆がコントロールできると、絵付け職人さんになったようでとても気持ちよかったです。

作例・ギンギツネ

色んな技法を生かして描けるか試してながらギンギツネを描いてみました。(絵の具はホルベイン分離色・雨夜の月単色です。単色で雰囲気あってとってもいい絵の具ですね!)

使用した筆はルナールファイン4号です。ひげなど細い線も面相筆みたいに細書きできるのに、面相筆よりも絵の具を多く含むので水を引いた画面に十分な量の絵の具を置くことができ、にじみも楽しむこともできます(ウェットオンウェット)。毛量と腰の柔らかさを生かして割筆による毛並みの表現もよい感じです。これ一本だけでもかなり描けますね!

まとめ

ギンギツネの毛を使った特徴的な筆、ルナールでした。特にファインは先の細さを生かした精密描写ができる上に、毛量と適度なコシを生かして幅広い表現ができるのがよいですね! お気に入りです!

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