本サイトはアフィリエイトやPRが含まれていることがあります。

日本画みたいなキラキラした画面を作りたい!<実験>

技法

キラキラした画面への憧れ

透明水彩のブログなのに日本画の話から入って恐縮ですが…、

皆さんは日本画を間近で見たことがあるでしょうか。日本画は鉱石を砕いた岩絵の具を使用しているため、塗り重ねた鉱石の粒が光を反射し星屑のように画面全体が上品にキラキラきらめいているのです。

あのキラキラを透明水彩の画面作りにも取り入れたい! と思い、色々実験してみました

理想のキラキラを定義

キラキラするラメや粒子が入った絵の具やメディウムは透明水彩にも存在します。

それこそ日本画のように鉱物である雲母が入った絵の具も存在して、そのきらめきは私の憧れるキラキラに近いものがあります。

また、透明水彩絵の具よりも、アクリル絵の具のキラキラの方が隠ぺい力が高く種類も豊富です。部分的に使うことでアクセントとしてより目立たせて使用することもできます。

絵の知識ゼロの文鳥
絵の知識ゼロの文鳥

チチチーヨ!(キラキラというか、ギラギラしてるね! 存在感があるー!)

アクセントになるキラキラの使い方も素敵ですが、今回目指している「私の理想のキラキラ」を定義するとしたらこんな感じです。

  • 画面全体がキラキラする
  • さりげなくキラキラする(×キラキラに真っ先に目が行く)
  • キラキラ粒子は荒めでザラザラした感じ(×光沢感やツヤ感)
  • にじみやぼかしなど透明水彩技法と併用できる

無いものねだりをしているような気もしてきましたが…、どうすればいいか実験してみました。

実験の方法

今回実験に使った絵の具は以下の通りです。

  • 透明水彩絵の具:ホルベイン(以下H) シルバー(PW20)
  • アクリル絵の具:リキテックス(以下L) パールホワイト アクリリック(IRON OXIDES ・TITANIUM DIOXIDE COATED MICA)
  • アクリル絵の具:ホルベイン クロマパール アジュール(PW6, PW15)

水彩紙は、ホワイトワトソン(色の定着が弱めの紙)とウォーターフォード中目(定着が強めの紙)の2種類を使用しました。

・定着力の弱い透明水彩絵の具↔定着の良いアクリル絵の具の比較

・さりげないキラキラ粒子感↔強めの存在感のあるラメの比較

で比べてみようと思い、絵の具をチョイスしました。

実験①先にキラキラを仕込む

絵を描く前に先にキラキラ絵の具を塗り、その後それぞれに同じ絵を描いて比較してみました。

(スキャナでキラキラ感が取り込めなかったので、あえて反射するよう写真を取っています。そのため一部暗くなったり色味が違って見えたり、と見にくい画像になっている部分もあります。すみません…。)

絵の具によってキラキラの粒子サイズや反射具合が違うので、キラキラ絵の具は塗ってみないと分かりませんね。(濃度でも印象が変わります)特に、絵の具だけの色見本だけだとキラキラが強いものが目を引いて良く見えがちですが、絵と合わせてみないと本当にそのキラキラ具合がよいものかは分かりませんでした。

今回塗った中では、透明水彩のHシルバーが私の好みに近い感じでした。しかし、塗り重ねた部分のキラキラは剥がれてしまい、僅かにしか残りませんでした。(写真では違いがあまり分かりませんね…汗)

一つずつ詳しく見ていきましょう。

透明水彩 ホルベイン シルバー

メイン画材は透明水彩なので、それにあわせて透明水彩のキラキラ絵の具ということで好みのキラキラ具合の絵の具を選びました。

最初にキラキラ絵の具を塗っておくことで全体にむらなくキラキラを仕込むことができましたが、透明水彩絵の具は定着が弱く、重ね塗りで筆を重ねるごとにキラキラがはがれていってしまいました。

また、紙全体に絵の具を塗り広げておくことで水彩紙の表面の状態が変わり、水の弾きがとても強くなり、塗り心地がツルツルして塗りにくく、色フチが出やすくなるなどクセの強い感じになってしまいました。

この後の絵の具もそうでしたが、先に絵の具を塗っておくと紙表面の状態が変化してクセが強くなりました。慣れればいけるかもしれませんが…。

アクリル絵の具 リキテックス パールホワイト

先ほどの透明水彩のキラキラは定着せず流出してしまったことをうけ、アクリル絵の具なら定着が良いだろうと選んだ上品なキラキラ絵の具です。

狙い通りキラキラの定着は良かったのですが、キラキラ絵の具を塗ったところに変な光沢感が出てしまい画面全体が光を反射するようになってしまいました。私の理想のキラキラとは少し違います…。

これは私の個人的な解釈ですが、アクリル絵の具は塗ったところがわずかに光沢をもって光を反射しているように感じることがあります。アクリル絵の具と透明水彩では、絵の具を紙にくっつけるための展色材として使われているものが違うためなのでしょうか。(透明水彩:アラビアゴム、アクリル絵の具:アクリル樹脂)

キラキラが定着したのは良かったのですが、光沢感がイメージと違いました。また、こちらも紙表面の状態が変化してクセが強くなりました。理想とは少し違います…。

アクリル絵の具 ホルベイン クロマパールアジュール

アクリル絵の具の光沢感と、絵の具を一層塗ることのクセの強さを改善するため、粒子感の大きいキラキラ絵の具を薄く塗ってみることにしました。手持ちの絵の具でキラキラ感(もはやラメというレベルの存在感)が強く、薄塗りの時に光沢感がでない絵の具を選びました。

薄塗りにすると、、水を弾くクセの強さは改善されましたし、薄く塗ることでキラキラの密度も下がってしまいますが、粒子の大きさでその密度の低下をカバーしています。

チヨ!(キラキラでキレイだね!)

そう、キレイなの! しかし、キレイすぎる…。

絵自体より、キラキラを見ることに意識が持って行かれる…。

私の画力不足もあるとは思いますが、このあたりで気が付きました。

キラキラはとてもキレイだけど、主役である絵よりも目立ちすぎて、絵がキラキラに食われていると…。

実験②最後にキラキラで仕上げる

最初にキラキラ絵の具を厚く塗ると紙の性質が変わって塗りにくかったのですが、最後にキラキラで仕上げれば良い気もしますが、絵の具を全体に塗り広げると下に塗った絵が崩れてしまわないか心配です…。そこで実際に試してみました。(キラキラ絵の具は、キラキラの具合が好みだった透明水彩のHシルバーです。)

定着のよい紙:ウォーターフォード中目

滲むことが想定されたので、少し塗り方を変えて滲んでも違和感のないような雰囲気のある塗り方をしてみました。紙は定着のよい紙としてウォーターフォードを使っています。

キラキラの雰囲気はいい感じなのですがやはり滲んでしまい、キラキラ絵の具無しよりボケボケした印象になってしまいます。

定着の弱い紙:ホワイトワトソン

定着の弱い紙だと悲惨な感じですね…。せっかく塗った絵が、溶け出して大きくにじんでしまいました。

やはり透明水彩で描いた絵に、後からキラキラを塗り重ねるのは無理がありますね…。

実験③折衷案:途中でキラキラを塗る

色フチが気になったのは水が多めの下塗り時点のことが多かったので、まず滲みやぼかしを生かして下塗りをして、その後にキラキラ絵の具を塗ることにしました。下塗りは多少滲んでも問題ないので、最後に主題を描きこめば、キラキラしつつ、滲んでいない絵が描けそうな気がしてきました。(紙は滲みが少なくなるようウォーターフォード中目です。)

チチチ!(折衷案だね! どうなるかドキドキ…)

どうでしょう!

にじまず、不本意な色フチも出ず、キラキラした絵が出来上がりました!

やっと、今までの中で一番理想に近いキラキラな絵が出来上がりました。

最初にニュートラルな状態の水彩紙の上で水彩らしい自然なぼかしや色のグラデーションを作っておくことで、それっぽさが出ますね。それでいて全体がキラキラしています。

キラキラ絵の具を塗った以降の行程が塗りにくいのは解決できていないので、まだまだ完全な理想には至っていませんが…。とりあえず今回はこれで及第点としましょう。この方法でいくつか絵を描いてみたいと思います。

キラキラ絵の具は難しい…

しかし、キラキラ絵の具を使ってみて困ることがいくつかありました。

  • 水や筆を介してキラキラが他の絵に移る →パレットや筆、筆洗はキラキラ専用にする
  • 本来見てほしい絵より、キラキラ自体に目をとられることも →使いどころに注意

好みによるとは思いますが、キラキラさせない絵の方が結局繊細な色の違いに意識を注ぐことができて、そちらの方が絵としてきれいな印象もありました。

どんな絵を描きたいか、その絵で見る人にどんな印象を持ってほしいかを意識して、画材をチョイスするのが重要ですね。

追記:ファイナルアンサーを発見!

この記事を描いた後日、理想のキラキラで絵を仕上げる方法を見つけました! ↓

タイトルとURLをコピーしました